ピアノは弾けるけど楽譜は読めない??
※(2021年9月24日)追記しました。
ピアノを弾き始めた年齢が比較的早く、「耳」の良い生徒さんに多い”お悩み”です。
「耳コピ」が得意になってしまって、楽譜を読むことが億劫になってしまうのが一番の原因です。
中学生になってから教室に入会したAちゃん。
小学4年生の時まで5年間、県外の教室でピアノを習っていたそうですが、また久しぶりにピアノが弾きたいということで、お母さまと一緒にいらっしゃいました。
「今、何か弾ける曲はある?」と尋ねると、以前弾いたことのある曲を聴かせてくれました。
とても感情豊かで、ピアノが大好きなことがよく伝わってくる素敵な演奏でした。
ところが、途中から、つっかえつっかえ…
その間、一度も目の前にある楽譜を見ず…結局、弾くのを止めてしまいました。
今、楽譜のどこで止まってしまったのかも分からない様子。
一緒にいらっしゃったお母さまが「この子、本当に楽譜が読めないんですよねえ。ピアノは大好きなんですけどね…」と。
とにかく、楽譜が読めるようにしたい!というご希望で、楽譜の読み方から一緒に勉強することになりました。
ブラインドタッチ(手元を見ないで弾ける)の重要性
Aちゃんはもう中学生になっていましたので、楽譜のしくみを理解するのはとても早く、順調にスタートしました。
ところが、ある問題が!!
Aちゃんは、一音一音を、手元を確認しながら弾く…のです。
手元から目を離すことが出来ないので、当然楽譜を見ながら弾くことはできません。
指はとてもよく動く生徒さんなので、弾く曲と読譜力のギャップにずっと悩んでいたそうです。
小さい時はある程度は仕方がないとしても、小学校以上になれば、弾いている曲のレベルと、読譜力のレベルを統一させていきたいですね♪
この、手元を見ないで弾く『ブラインドタッチ』は、とても重要です。
最近のテキストでは、幼児期から「楽譜から目を離さないで!」という項目があります。 *当教室でも使っている「バスティン」のテキストにも、幼児期から1曲毎に、この声かけの項目があります。
「ピアノを習っているけど、楽譜を読むのが苦手」という生徒さん、多いですよね。
楽譜を読もうとすると
耳で聴いて、指で鍵盤を探りながら弾いたり…
先生の手の動きをまねたり、鍵盤の位置を覚えて弾いたり…
楽譜に全部ドレミを振ったり、指番号を振ったり…
ピアノは大好きなんだけど、楽譜を読むことが苦手という生徒さん、多いですよね。
でも、いつまでも苦手なままだと…
楽譜を読むのが苦手
⇩
弾けない
⇩
つまらない
⇩
練習が嫌になる
というループに陥ってしまいます。
耳で聴いて弾けること自体はとても素晴らしいこと
耳で聴いて弾けること自体はとても素晴らしいことで、私自身も子供の頃は聴いた音を鍵盤で探ってメロディーを弾いて楽しんでいました。
いつの間にか左手で伴奏が付けられるようになって…
その経験が「伴奏付け」や「即興演奏」へ繋がっていったのだと思います。
耳や音感も鍛えられますし、「ソルフェージュ」の力も身に付きます。
なぜ、楽譜が読めないといけないの?
では、なぜ、楽譜が読めないといけないのでしょう。
それは、一人で自立してピアノが弾けるようにするためです。
譜読みができないと、先生や親が楽譜にドレミを振ったり、指番号を振ったり…
いつまでも、誰かに手伝ってもらわないと、楽譜を見て弾くことができません。
一曲一曲、誰かが付きっきりで練習するということになります。
まだ音符の数の少ない、年齢の小さいうちに、「読譜」の基礎的な力を身につけておくことが大切です。
楽譜が読めると、どんどん音楽の世界が広がります!
楽譜が読めるようになると、気になった曲を、楽譜を見てすぐ弾いてみたり、一人で楽しむことができます。
低学年のうちに、「読譜力」を付けておくと、高学年になって勉強や部活が忙しくなっても、大好きなピアノを奏でて楽しむことができますね。
この「読譜力」が身に付いていないと、成長して年齢に合った少し大きな曲にチャレンジしたいと思っても、楽譜を読む作業だけで気の遠くなるような時間が掛かってしまいます。
レッスンでは、音の間違いを直されるばかり…
そんな状態では、一番やりたい、音楽を楽しむ!所まで、なかなか到達しませんよね。
最初が肝心!初歩の読譜レッスン~一人一人に合わせた個人レッスン~
では、初歩のレッスンでは、どのように「読譜力」を付けていくのでしょう。
まずは、短いメロディーをスラスラ読めるようにしていきましょう。
メロディーを読めるようにするためには、一つ一つの音を読むこと(点読み)と、メロディーを横に流れるように読んでいくこと(模様読み)の2つがとても大切です。
*他にも、譜を読むためには、リズムや拍感など必要な要素はありますが、ここでは音名と鍵盤の場所を一致させることについてお話していきます。
・一つ一つの音を読むこと(点読み)
・メロディーを横に流れるように読んでいくこと(模様読み)
点読みとは
まず、楽譜上の一つの音を指差して、鍵盤で確認します。
「音符カード」を使って、トレーニングすることもあります。
時間を計って競争したり、ゲーム感覚でできると楽しいですね。
ただ、これだけだと、1音一音が読めているだけで、横の流れ(音程)を読めて感じていないので、演奏がぎこちなく途切れ途切れになってしまいます。
模様読みはとても大切‼
まずは、線(せん)と間(かん)を覚えます。
同時に、次の音符との幅(音程)を読むこともトレーニングしていきます。
「ちょうちょう」の
ソミミーファレレードレミファソソソー
の、ソミは「(ひとつとび)3度」ドレミファソはそれぞれ「(おとなり)2度」になります。
♫メロディーの90%は「2度」と「3度」でできているそうです。
これがサクサク読めれば、譜読みは大きく、はかどりますね。
また、ソミミーとファレレーは同じ動きが反復されていることにも気が付きます(ゼクエンツ)。
楽譜を見たら、頭の中で”音”が鳴るように!が理想です。
音程や、音の方向性やモチーフ、音の固まり(和音)が理解できるようになると、和音の動き(和声)や、調性を感じることができ、どんどん音楽の世界が広がっていきますね。
楽譜を見たら、どんな曲かすぐわかる!頭の中で”音”が鳴るようになるのが理想です。
毎日、楽譜を見て弾く習慣をつける
字を覚えたり、英語を覚えるのと一緒で、楽譜をしっかり読んで弾く時間を、毎日少しずつ作って習慣化しましょう!
「耳コピ」でやってきた生徒さんには、はじめは慣れるまでに大変かもしれませんが、だんだん読んで弾けるようになります。
幼児期で、どうしても手元ばかり見てしまう生徒さんには、「はい!かくれんぼ~♪」と言って、手元を本で隠して弾いてもらっています(#^^#)
「すごいね~、手元を見ないでも弾けるね」と言うと、面白がってどんどん弾いてくれます(#^^#)
また、音を外さず、確実に鍵盤を押さえるためには、お指の形もとても大事ですね。
先ほどのAちゃんですが、その後、少しずつ楽譜を読みながら弾けるようになりました。
ずっと手元ばかり見て、一度も楽譜を見なかったAちゃんが、新しい曲を譜読みしながら弾いている姿を見て、お母さまも周りのお友達もびっくりしていました。
毎日少しずつ、譜読みトレーニングを続けた成果ですね。
ピアノは”脳”を活性化する!
このように、ピアノを弾くには様々な能力が必要となります。
楽譜を読み解き、脳はそれを指先に伝達する…。
ピアノを弾くことで、脳が刺激され、そのためにピアノは脳によいとされるのですね‼
東大生の2人に1人はピアノ経験者
テレビでもおなじみの脳科学者の先生が「習い事はピアノだけでいい!」と言って、大変話題になりました。
ピアノを弾くことが非常に脳に良いということは、脳科学的に証明されているそうです。
ピアノを弾くことは”脳”を活性化する~幼児からシニアまで~
ピアノを弾くということは
①楽譜を見て読み込み②脳内に一時的に記憶し③指先に伝え音を出す④耳で聴いて確認する
これを繰り返し行うことになります。
②の機能が「ワーキングメモリー」と言われるもので、この能力が長けていると、いわゆる「勉強ができる」「頭がいい人」ということになります。
ピアノを弾くということは、この繰り返しを連続で行うことになるので、脳科学者も認める習い事ということになるようです。
こちらは前回もご紹介した、脳科学者の、澤口俊之先生のコラムです。
西久万ピアノ教室では、来春「シニアコース」を開設予定です。
お子様やお若い方ばかりではなく、ピアノを弾くことは”脳トレ“になり、精神面でもポジティブで健康的になり、”健康寿命“を延ばす効果かあると言われています。
ピアニストには長生きの方が多く、認知症の人が少ないと言われています。
ピアノ演奏は脳をフル回転させ、長く続けることによって脳の構造まで変わるそうです。
西久万ピアノ教室では、このシニア世代の方のピアノコースを来年度春に開設予定です。
コロナウィルス感染症の状況を鑑み、開講が予定より延びてしまいましたが、その分しっかり準備をして開講する予定です。
年齢や得意不得意もそれぞれ、個人差があります。
「読譜力」がどのくらい身に付かは、レッスンを始める年齢によって大きく違います。
楽譜を理解するという点については、当然、年齢が高い方が、理解力が高いと言えます。
ピアノ教室の個人レッスンでは、スタートする年齢に合わせて、お一人お一人に合わせたアプローチをしています。
西久万ピアノ教室でも、「できるようになった!」という達成感を味えるように、レッスンでは様々な工夫をしています。
生徒さんに、ピアノ(音楽)を生涯にわたって楽しんでもらえるようなレッスンをすることが、私たち指導者の務めだと思っています。
脳科学者の、澤口俊之先生のコラムがありますので、ご紹介します。